川崎 生まれ故郷にうまい店 味よし
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第10回 2007年2月20日(火) 【地域別】 【時間順】 【がっかり集】
川崎 居酒屋「味よし」
~ 生まれ故郷にうまい店 ~
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川崎駅西口の変貌
今日はSAKURAと川崎へ向かった。
川崎駅西口の変貌は驚くべきものがある。まず、最初に出来たのが「ミューザ川崎」であった。「川崎西口地区第一種市街地再開発事業」として都市公団が施行した都市再生プロジェクトであり、地上27階の超高層オフィス棟と2,000席を有する巨大円形シンフォニーホールをもっている。
実は私が生まれた場所は、この「ミューザ川崎」の西北端にあるエスカレータ下に位置する。
まさか、自分の生まれ故郷があのような場所になってしまうとは想像も出来なかった、時代がすっかり変わってしまったことに驚くと同時に「なぜエスカレータ下なのか」と、ちょっと寂しくもあり、可笑しくもある。
昨年、川崎駅西口の東芝堀川町工場の跡地である11万㎡という広大な敷地面積に「ラゾーナ川崎」が出来た。「ラゾーナ川崎」には10個のスクリーンを持つ「109シネマズ」というシネマコンプレックスがあり、演劇や音楽ライブに使える200席の多目的ホールもある。ビックカメラ、LOFT、無印良品、ユニクロなどの大規模店も入っており、全部で300以上の様々な店舗がある。何でも買うことが出来る複合商業施設である。さらに敷地の一部には今年3月に667戸の高層住宅棟も出来上がる。何もかもが巨大である。
「ラゾーナ川崎」には、食事や酒を飲ませる店がたくさん入っている。どの店も、洒落た造りの店ばかりである。しかし、我々SAKURA & DAITENにはどうも馴染めない。
ゆえに、「ラゾーナ川崎」の裏口から外に出て、駐車場棟の中を歩き、さらに裏の公園のような駐車場を抜けて、裏通りに出るとある店に向かった。その店はその通りから住宅街に少し入った場所にある。
川崎駅西口 やきとり・炭火焼「味よし」
昨年の秋、一人で川崎に買い物に来た時、突然思い立って小学校1年生から3年生まで通っていた小学校に行ってみた。建物はすっかり新しくなってしまっている。40年の時が過ぎているのだから、それも仕方がない。それでも痕跡をたどって当時の通学路を逆に歩き始めてみた。
すると、夜道に赤い提灯を見つけた。吸い寄せられるように中に入ってしまった。それがこの店「味よし」への初回であった。駅から離れた住宅街の中にポツンと1軒だけある居酒屋である。本当に常連の為の店と言える。思いの外、良い店で、SAKURAを一度連れてきたいと思っていたのである。
SAKURAと二人で店に入る。右側に10名ほどが座れるカウンター席があり、左側に4人掛のテーブル席が3つ、奥に8名ほど座れるこあがり席がある。私たちは奥の方のカウンター席に座ろうとした。すると席に帽子が置いてある。周囲の皆さんに聞いたが誰も知らない様子。お店の人にその帽子を渡して席につく。しっかりとした造りの野球帽であった。
最初にホッピー(420円)を2つたのんだ。すると、目の前の女性がカウンターの中で微妙な手の動きをしている。謎であった。
「ホッピーお願いします」と一言で注文しても、その出し方は店によって様々である。大手チェーンでホッピーを出す店のほとんどが、何も聞かず、常温のジョッキに氷を大量に入れ、そこに冷えていない焼酎を注いだ物に、ホッピー(業務用タイプ)の瓶を添えて出してくる。
ホッピーの製造元ホッピービバレッジは、公式サイトで「風味が落ちるので氷は入れないでください」と書いている。中目黒のモツ焼き店「源」のように「氷入れますか?」と、ちゃんと聞いてくれる店は上等である。
やがて、カウンターの中の女性が出してくれたホッピーは、氷の入っていないジョッキに、冷えた焼酎とホッピーを注ぎ、そこにレモンを浮かせたものだった。このレモンがきいている。
一口飲んで驚いた。うまい。二人で顔を見合わせる。SAKURAが「なんだか、このホッピーおいしいわねぇ」と言う。レモンが入っているが、小さな切れ端なので、じゃまにはならない。ちょうど、日本料理で吸い物に「吸い口」として柚子の表皮を削ったものが浮かべてあるように、よいアクセントになっていて、ホッピーの味をじゃましていないのである。女性の手の動きの謎を理解することが出来た。しかも、「氷を入れますか?」などと聞きもしない。この店では氷を入れないことが普通なのである。氷を入れられてしまうのではないかと心配する必要もない。ホッピー好きの私にとって理想の店と言える。
SAKURAが「湯豆腐ください」と言うと、「おんとうふでいいですか?」という答え、壁の短冊メニューを探すとそこには「温とうふ 315円」と書いてあった。「温」を「湯」と見間違ったのである。ここでは、暖かい豆腐は「温とうふ」なのである。
さらに、アコウ鯛の粕漬け(420円)、ぶり刺し(420円)を頼んだ。アコウ鯛がうまかった。ぶり刺しも新鮮で、6切れほどあり、とても420円とは思えない。
2杯目のレモンハイ(370円)と一緒に、ヤゲン(115円)、ヒナ肉(115円)、ギンナン(115円)などを2本ずつと、サザエの壺焼き(210円~260円)を頼んだ。ヤゲンとは鳥のナンコツである。このヤゲンがうまい。サザエの壺焼きを食べてSAKURAは目を細めていた。好物なのである。
他に果汁割(420円)もあったが、次の機会ということにした。勘定をお願いすると3,500円だった。この内容でこの価格は安い。
外に出て、「ラゾーナ川崎」に戻り少し買い物をしてから川崎駅へ向かった。駅への連絡通路の切れ目から、「ミューザ川崎」の美しい外観が見えた。あの麓で私は生まれたのか。
母からのメール
去年の秋の日、一人「味よし」を出た私は、当時の小学校への通学路を、家のあった場所を目指してさらに歩いた。昔、通った床屋が当時と同じ交差点に残っていた。私はこの床屋の漫画が読みたくて、「早く行こう」と騒いでいるうちに、家の階段から落ちて、コンクリートの床に頭を打ち付け、頭蓋骨にヒビが入る大けがを負った。数日、死線を彷徨い奇跡的に助かった。小学校に入る前の師走のことであった。
さらに、駅に向かって歩き、「ミューザ川崎」の麓に立った。
そして、「今、生まれた場所に立っている」というメールを母に送った。すると、母からメールが戻ってきた。母は78歳である。去年から携帯メールを始めた。でも、まだ漢字をうまく扱うことができない。故に次のような文章になった。原文通りである。
「生まれたひに、ちかいときに、たつて、あらたな、あゆみで、たしかに、あしもとをみよ 。」
高層ビル下のエスカレーターのそばで中年男が涙をこらえて独り立っている。その姿は、ただの酔っぱらいに見えたに違いない。それは去年の秋、私の誕生日の前日であった。
ラゾーナ川崎
http://www.lazona-kawasaki.com/index.shtml
ミューザ川崎
http://www.muzakawasaki.com/
川崎 やきとり・炭火焼「味よし」
川崎市幸区中幸町3-14 電話044-533-3210 JR川崎駅西口下車徒歩15分
定休日 水曜日 営業時間 16:30~22:30
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居酒屋探偵DAITENの生活 第10回 2007年2月20日(火) 【地域別】 【時間順】 【がっかり集】
川崎 居酒屋「味よし」
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川崎駅西口の変貌
今日はSAKURAと川崎へ向かった。
川崎駅西口の変貌は驚くべきものがある。まず、最初に出来たのが「ミューザ川崎」であった。「川崎西口地区第一種市街地再開発事業」として都市公団が施行した都市再生プロジェクトであり、地上27階の超高層オフィス棟と2,000席を有する巨大円形シンフォニーホールをもっている。
実は私が生まれた場所は、この「ミューザ川崎」の西北端にあるエスカレータ下に位置する。
まさか、自分の生まれ故郷があのような場所になってしまうとは想像も出来なかった、時代がすっかり変わってしまったことに驚くと同時に「なぜエスカレータ下なのか」と、ちょっと寂しくもあり、可笑しくもある。
昨年、川崎駅西口の東芝堀川町工場の跡地である11万㎡という広大な敷地面積に「ラゾーナ川崎」が出来た。「ラゾーナ川崎」には10個のスクリーンを持つ「109シネマズ」というシネマコンプレックスがあり、演劇や音楽ライブに使える200席の多目的ホールもある。ビックカメラ、LOFT、無印良品、ユニクロなどの大規模店も入っており、全部で300以上の様々な店舗がある。何でも買うことが出来る複合商業施設である。さらに敷地の一部には今年3月に667戸の高層住宅棟も出来上がる。何もかもが巨大である。
「ラゾーナ川崎」には、食事や酒を飲ませる店がたくさん入っている。どの店も、洒落た造りの店ばかりである。しかし、我々SAKURA & DAITENにはどうも馴染めない。
ゆえに、「ラゾーナ川崎」の裏口から外に出て、駐車場棟の中を歩き、さらに裏の公園のような駐車場を抜けて、裏通りに出るとある店に向かった。その店はその通りから住宅街に少し入った場所にある。
川崎駅西口 やきとり・炭火焼「味よし」
昨年の秋、一人で川崎に買い物に来た時、突然思い立って小学校1年生から3年生まで通っていた小学校に行ってみた。建物はすっかり新しくなってしまっている。40年の時が過ぎているのだから、それも仕方がない。それでも痕跡をたどって当時の通学路を逆に歩き始めてみた。
すると、夜道に赤い提灯を見つけた。吸い寄せられるように中に入ってしまった。それがこの店「味よし」への初回であった。駅から離れた住宅街の中にポツンと1軒だけある居酒屋である。本当に常連の為の店と言える。思いの外、良い店で、SAKURAを一度連れてきたいと思っていたのである。
SAKURAと二人で店に入る。右側に10名ほどが座れるカウンター席があり、左側に4人掛のテーブル席が3つ、奥に8名ほど座れるこあがり席がある。私たちは奥の方のカウンター席に座ろうとした。すると席に帽子が置いてある。周囲の皆さんに聞いたが誰も知らない様子。お店の人にその帽子を渡して席につく。しっかりとした造りの野球帽であった。
最初にホッピー(420円)を2つたのんだ。すると、目の前の女性がカウンターの中で微妙な手の動きをしている。謎であった。
「ホッピーお願いします」と一言で注文しても、その出し方は店によって様々である。大手チェーンでホッピーを出す店のほとんどが、何も聞かず、常温のジョッキに氷を大量に入れ、そこに冷えていない焼酎を注いだ物に、ホッピー(業務用タイプ)の瓶を添えて出してくる。
ホッピーの製造元ホッピービバレッジは、公式サイトで「風味が落ちるので氷は入れないでください」と書いている。中目黒のモツ焼き店「源」のように「氷入れますか?」と、ちゃんと聞いてくれる店は上等である。
やがて、カウンターの中の女性が出してくれたホッピーは、氷の入っていないジョッキに、冷えた焼酎とホッピーを注ぎ、そこにレモンを浮かせたものだった。このレモンがきいている。
一口飲んで驚いた。うまい。二人で顔を見合わせる。SAKURAが「なんだか、このホッピーおいしいわねぇ」と言う。レモンが入っているが、小さな切れ端なので、じゃまにはならない。ちょうど、日本料理で吸い物に「吸い口」として柚子の表皮を削ったものが浮かべてあるように、よいアクセントになっていて、ホッピーの味をじゃましていないのである。女性の手の動きの謎を理解することが出来た。しかも、「氷を入れますか?」などと聞きもしない。この店では氷を入れないことが普通なのである。氷を入れられてしまうのではないかと心配する必要もない。ホッピー好きの私にとって理想の店と言える。
SAKURAが「湯豆腐ください」と言うと、「おんとうふでいいですか?」という答え、壁の短冊メニューを探すとそこには「温とうふ 315円」と書いてあった。「温」を「湯」と見間違ったのである。ここでは、暖かい豆腐は「温とうふ」なのである。
さらに、アコウ鯛の粕漬け(420円)、ぶり刺し(420円)を頼んだ。アコウ鯛がうまかった。ぶり刺しも新鮮で、6切れほどあり、とても420円とは思えない。
2杯目のレモンハイ(370円)と一緒に、ヤゲン(115円)、ヒナ肉(115円)、ギンナン(115円)などを2本ずつと、サザエの壺焼き(210円~260円)を頼んだ。ヤゲンとは鳥のナンコツである。このヤゲンがうまい。サザエの壺焼きを食べてSAKURAは目を細めていた。好物なのである。
他に果汁割(420円)もあったが、次の機会ということにした。勘定をお願いすると3,500円だった。この内容でこの価格は安い。
外に出て、「ラゾーナ川崎」に戻り少し買い物をしてから川崎駅へ向かった。駅への連絡通路の切れ目から、「ミューザ川崎」の美しい外観が見えた。あの麓で私は生まれたのか。
母からのメール
去年の秋の日、一人「味よし」を出た私は、当時の小学校への通学路を、家のあった場所を目指してさらに歩いた。昔、通った床屋が当時と同じ交差点に残っていた。私はこの床屋の漫画が読みたくて、「早く行こう」と騒いでいるうちに、家の階段から落ちて、コンクリートの床に頭を打ち付け、頭蓋骨にヒビが入る大けがを負った。数日、死線を彷徨い奇跡的に助かった。小学校に入る前の師走のことであった。
さらに、駅に向かって歩き、「ミューザ川崎」の麓に立った。
そして、「今、生まれた場所に立っている」というメールを母に送った。すると、母からメールが戻ってきた。母は78歳である。去年から携帯メールを始めた。でも、まだ漢字をうまく扱うことができない。故に次のような文章になった。原文通りである。
「生まれたひに、ちかいときに、たつて、あらたな、あゆみで、たしかに、あしもとをみよ 。」
高層ビル下のエスカレーターのそばで中年男が涙をこらえて独り立っている。その姿は、ただの酔っぱらいに見えたに違いない。それは去年の秋、私の誕生日の前日であった。
ラゾーナ川崎
http://www.lazona-kawasaki.com/index.shtml
ミューザ川崎
http://www.muzakawasaki.com/
川崎 やきとり・炭火焼「味よし」
川崎市幸区中幸町3-14 電話044-533-3210 JR川崎駅西口下車徒歩15分
定休日 水曜日 営業時間 16:30~22:30
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Re: 拝読しました。