居酒屋探偵DAITENの生活 第93回 2008年4月19日(土)
【地域別】 【時間順】奥沢 やきとり「さいとう」

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土曜日の夕方である。都立大学周辺で野暮用を済ませ、徒歩で目指したのは東急目黒線の
奥沢駅である。
奥沢駅は目黒方面の改札口と武蔵小杉方面の改札口が踏切をはさんで別々になっている。その武蔵小杉方面の改札口の前の小さな広場に出て右へ、自由通りと呼ばれる道を渡ると、目の前の路地を入ってすぐ左手に今日の目的の店、
やきとり「さいとう」がある。徒歩30秒、改札口から看板がよく見えるほどの近さである。
東急東横線の都立大学駅前にたたずみ、携帯メールを打っている時、背後の居酒屋から中年女性3人組が出てきた。次に行く店について話しあっているようである。
一人の女性が
「やきとりなら奥沢よ」と言う。この一言で数年前に行ったことのある
やきとり「さいとう」を思い出したのである。
入口を開き、中を覗くと。かなりの盛況である。
手前左手のカウンターの中に焼き台がある。白い煙の中から、眼光炯々としたマスターの目がこちらを見ている。
「今は・・・」と断られる雰囲気である。すかさず、指を1本立てて「一人なんですが・・・」とお願いの姿勢を示す。すると、「座るなら・・・こちら」と目の前のお客さんが帰ったばかりらしく、皿やグラスが残された席を指し示す。実に運がよい。何しろ、私の後から続けて何人かが断られていたのである。
この断る様子が面白い。入口が開く。マスターがじろりと見る。
「ごめんなさい」と丁寧な言葉ながら、小首を傾げてきっぱり断る。媚びる様な姿勢はまったくない。そして、この「ごめんなさい」という言葉は一定の高さであり、まったく抑揚がないのである。入ってきた客はあきらめて、素直にすぐ帰ってゆく。
左手のカウンター席は7席。右手には片方が壁に作りつけになっている長いテーブル席が三つある。テーブルには20人ほどが座れるであろうか。さらに、奥には一段高くなった座敷がある。
店内にはマスター以外に女性が二人、御夫婦と娘さんでやっているのだろうか。若い方の女性が私の前の皿やグラスを片づけながら、「すぐにご注文うかがいに来ますから」と言う。取りあえず瓶ビールだけお願いする。店内は本当に忙しそうである。
すぐに瓶ビールがやってくる、
サッポロ黒ラベル大瓶(550円)である。わかっている店はスーパードライなど出さない。実にうれしい。
ビールを飲み、店内の様子を見ながら声がかかるのを待つ。このお店も「やきとり」と店名の前に書いてあるが実は「やきとん」の店である。それなりの理由がある。「やきとり」という言葉の成り立ちについて調べれば解ることである。
さらに、カウンターの一番奥におでん鍋がある。おでんは夏場は置かないようである。今のうちに、おでんをいただいておこうと考える。
しばらくして、マスターから「焼き物はどうしますか?」とお声がかかった。
「
たん、
はつ、
かしらをお願いします」「塩ですか?」「はい、塩でお願いします」
すると、マスターが背後の女性に「カウンター3番さん、やきとり6本つけてください」と言う。女性が壁のメモ用紙にそれを書き留める。たん、はつ、かしら全て1本100円である。注文は2本単位である。
焼き物が出来るまでの時間があるので、
煮込み(300円)をお願いする。やがて、やってきた煮込みは、ネギのみじん切りがかかっているだけで、モツ肉のみのシンプルなものであった。独特の甘みがあって、実においしい煮込みである。
やがて、焼き物がやってきた。たん、はつ、かしら、どれをとっても適度の歯ごたえがあり、とてもうまい。
この店を仕切っているマスターは独特の緊張感を持っている。常に動きも言葉も一定である。そして、とにかく動きに無駄がない。焼き台の上にたくさんの焼き物が乗っている。それを横目で見ながら洗い物をこなす。お勘定もマスターがすべてやる。女性二人に対して支持が常に飛ぶ。「テーブル二番さん奥片づけてください。」「テーブル三番さんお酒ふたつ」と矢継ぎ早である。「カウンター前に回って、テーブル一番さん手前にこれを出してください。」と言ってから、かなりの種類のものなのに、何をどんな味付けで焼いたか全部丁寧に伝えるのである。商売とはいえ、すごい記憶力である。さらに、女性二人の手が空いていないとみるや、皿を両手に持ってカウンター内から飛び出し、素早く席へと運ぶ。せっかく焼き上がった焼き物が目の前で冷めてゆくようなヘマなことはしないのである。
白鷹(350円)を冷や(常温)でいただく。
塩で焼いたものがおいしいなら、タレもいただかなければならない。ここで、
レバタレをお願いする。おでんも食べてみなければならない。私の大好物である
チクワブと
ハンペンである。
もう一杯だけ飲むことにした。
いいちこ水割り(350円)である。最後にメニューの中で一番気になっていた一品を頼んだ。
「豚トロ(350円)」である。添えられたレモンを搾り、熱いうちにいただく。これがうまかった。
久しぶりに「肉」そのものに集中して食べてしまった。
店全体をマスターが一人で
掌握している。客の人数もそうである。席が空いているかどうかで人の出入りを調整しているのではないらしい。目の前の
焼き台で焼ける量を見て調整しているようである。考えてみれば、商売っ気を出して許容量を超えた客を入れ、結果的に待たせるのなら、最初から断った方が誠実な姿勢である。
約1時間15分ほどの滞在。お勘定は2,750円であった。適度の
緊張感と
味に満たされた、心地よい一時であった。
奥沢 やきとり「さいとう」(やきとん)
住所 東京都世田谷区奥沢4-27-12
電話 03-3727-6233
定休 日曜日
営業時間17:00~24:00
東急目黒線奥沢駅北口より徒歩30秒
地図や店内の様子はこちら↓
http://www.sempuku.co.jp/sagaseru/shop/shop_tokyo/setagaya/1.htmホッピー原理主義者とは?ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。
ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」は
こちら。
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コメント
居酒屋探偵DAITEN
コメントありがとうございます。
実は、数年前に行った時は、マスターはもっともっと怖かったです。
失礼ですが、ちょっとだけ丸くなったような・・・。
是非、行ってみてください。ただし、混んでいますので
「ごめんなさい」と言われてしまう可能性が高いことを覚悟してください。
お店の皆さんは一言も無駄口を叩きません。
常連さんが女性の方に何か話すのも、ものすごい小声でした(笑)
2008/04/22 URL 編集
uchidaholic
拝読していてとっても雰囲気が伝わってきました。
平坦で(笑)真剣な仕事ぶりのマスターに会いに行きたいです。
2008/04/21 URL 編集