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武蔵小山 「牛太郎」武蔵小山店

居酒屋探偵DAITENの生活 第139回  2008年9月17日(水)  【地域別】  【時間順】


武蔵小山 「牛太郎」武蔵小山

武蔵小山牛太郎外観写真

 東急目黒線の武蔵小山駅は、同路線の武蔵小山と大岡山の間の完全地下化工事に伴い、駅の工事が続いている。やがて駅前に大きなロータリーが出来ることになっている。
 武蔵小山駅地下にある改札口からエスカレーターで駅の東側に出ると、目の前に立ちのみの店があり、やきとりの「鳥勇」がある。
 駅の東側一体は、スナック、バー、小料理屋、居酒屋などが狭い路地にひしめくように建ち並ぶ広大な飲屋街である。この飲屋街の南側は全国的に有名な巨大アーケード街「武蔵小山商店街パルム」である。
 武蔵小山商店街は、東南方向に600メートルほど伸びるパルム1と、西南方向に200メートルほど続くパルム2の二つの商店街がL字形につながって出来ている。二つの商店街の重なる場所が駅前広場になっており、そこにあるオブジェのあたりには待ち合わせらしい人影がいつも多い。商店街の入口を左手に見ながらオブジェの前を過ぎて、西南方向に歩いてゆくと補助26号線に出る。この道を渡り、少しゆくと左手に「牛太郎」の看板が見えてくる。

 「牛太郎」はいつも混んでいる。何しろ煮込みが110円なのだから混むのは仕方がない。夏場は冷房の無い店内は窓を開け放っているのでよく見える。台形のコの字カウンターは今日も満席の様子。入口を入って左右にある待合い席にもいつもは人がたくさん座っている。噂によれば、テレビなどで紹介された為、常連ではない客が多くなり、大人数で1時間以上の長居をする場合が増えてしまい、なかなか席が空かない場合が多いという。前を通っても最近は店に入ることはなかった。しかし、今日は待合い席に数人しか座っていない。これはチャンスかもしれないと思い入ってみることにした。

 酒も飲まずに座っているのであるから、ついつい店内の様子を観察してしまう。客同士は、みんな一緒に来た仲間のように親しく話している。しかし、それぞれがお勘定をすると自分の分だけを払って帰るので、彼らが別々に来た常連さんであることが解る。「俺が払う」「いいよ、俺が払う」という古典的な酒場のやり取りもちゃんとある。
 台形のコの字カウンターには詰めに詰めて30人近くが座れるであろうか。なにしろ、独立した椅子ではなく、横に長い縁台のような席であるから詰めることは可能である。
 時々、席が空く。しかし、すぐには動かず、店の方の仕切りを待っている。常連同志が移動する様子を見ていると、一人が移動して二人席をつくり、私より前に来ていた二人組のお客さんたちがそこに入るようである。大将らしき方が声をかける。しかし、声が小さいので焼き場の中から待合い席まで聞こえない。すこしたって、やっと気がついたお二人が座った。
 大将らしき方、女将さんらしき方、そしてもう一人の少しだけ年齢の若い方の三名がカウンターの中で働いている。

 結局、待合い席で15分ほど待つことになった。待つのも「牛太郎らしさ」である。
大将から目で促され座ろうとする。左隣の方が私の前のカウンターを台拭きで拭いてくれる。軽く礼を言って席に滑り込む。
 大将にホッピー氷無し(370円)と煮込み(110円)、おしんこ(80円)を一期に頼んだ。
 その場所は、ちょうど女将さんが焼き物を焼いている前の席である。
 煮込みとお新香がやってくる。煮込みは横に長い浅い皿に盛られて出てくる。汁気の多いタイプの煮込みではないことが解る。お新香は包丁の入っていないキュウリ1本がそのまま出てきた。それぞれ110円と80円という安さとは思えない、ちゃんとした量である。
 左右の席では、お客さんたちが激論を交わしている。カウンターの中では寡黙な3人が仕事に集中している。特に女将さんは眼光炯々とした気迫のある眼差しで周囲を見る。無駄口は言わず焼き物を焼く。そんな女将さんと目があった時、「焼き物いいですか?」と聞いてみる。すると、女将さんは左手の焼き物のケースを見ながら「なんこつ、はつ、かしらの3種しかないです」と言う。すかさず、「なんこと、はつ、かしら、お願いします」と答えた。すべて1本80円である。一人客にはうれしい話であるが1本ずつの注文が可能である。

 ホッピーも無くなりかけた頃に焼き物がやってきた。お腹もすいていたので、一期に食べてしまう。
 右隣で激論を交わしていた方々がお勘定をする。そして、釣り銭を断って帰っていった。なにやら「安い値段でいつまでも店を続けてくれ」という気持ちの表れのように感じた。
 飲み物は他にレモンサワー(370円)やハイッピー(370円)もある。 武蔵小山は「割るならハイサワー」のキャッチフレーズで有名な「博水社」の本社がある街である。やはり、〈ハイッピー〉がちゃんとあるのである。目黒線沿線には、ゆえに〈ハイッピー〉を飲める店が多く存在するのである。

 お勘定をお願いすると、800円であった。待ち時間15分を含めて35分程の滞在時間であった。外に出る。さっと店に入り、サクッと飲んで、お勘定をすませて帰る。「牛太郎」はそんな店である。
 少し周囲を散策して再び前を通ると、閉店時間の1時間前だというのに、暖簾が仕舞われ外の電気が消されていた。写真はその時のものである。焼き物が無くなったのかもしれない。この店の今日の喧噪は終わり、明日また喧噪がやってくるのである。「日は沈み、また昇る」のである。

追記  最近、「牛太郎」中延店の前を通るが店が開いていない。閉店してしまったのであろうか?

追記2 東京城南居酒屋探偵団団員のcroquettepunchさんの情報によれば、中延店もちゃんと営業しているとのこと。

武蔵小山 「牛太郎」武蔵小山店
住所 東京都品川区小山4-3-13
電話 03-3781-2532
定休日 日曜日
営業時間 平日 15:40~20:00 土曜 13:30~19:00
東急目黒線「武蔵小山駅」下車・徒歩2分

ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら


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コメント

居酒屋探偵DAITEN

愛がありますね
城南探偵団見習様

コメントありがとうございます。
店の常連の皆さんが大事にしてきたものが
「牛太郎」さんにはありますね。いわばがあるというか。
長い年月をかけて作られたそういうものを
大切に出来る自分でありたいと思います。

「みやこや商店」さんは行ったことが無いので
是非行ってみます。
情報ありがとうございます。

城南探偵団見習

みんないい店だいい店だといいながら飲んでますよね
ワタシもですけどね
いつのまにか仲良くなって
見ず知らずのセンパイから昔の武蔵小山の話なんかも聞けます
お勘定してると「帰るの?」って声かけれらて
こっちも「うん帰る」って答たりして楽しい

鳥勇の先にあるモツ卸みやこや商店もいいですよ
立ち食いでレベルの高いモツが味わえます

居酒屋探偵DAITEN

独特の雰囲気です
CroquettePunch様

そうですね。ラーメン屋、回転寿司などとは、まったく違いますね。
本当にちょっとドキドキですね。
一人で行けば、うまく間に入れてくれますね。
それから、二人客なら詰めてもらったり、お客さんが自主的に動いてくれたり、
手はありますが・・・「牛太郎」に四人とかで来て席を一度に空けて
もらおうというのは場違いですよね。
私はカウンターに座ってからも、背後で待っている方が気になって
長居できない方です。人に迷惑をかけるのが恐いというか・・・。

croquettepunch

牛太郎の待ち席...
次から次に人がやってきて,しかもラーメン屋さんの行列のように,端から順序正しく座るわけではないので,最初はかなり不安になったものです.ご主人も女将さんも,ちゃんと見ていてくれるのですがね.ちょっとドキドキな放置プレイですね!
非公開コメント

新岳大典

新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。
http://izakaya.daitenkan.jp/
2018.1より上記のURLとなりました。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。
2011.7よりfacebook参加
https://www.facebook.com/daiten.aratake/

劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。

演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」
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かたびら・スペース・しばた。公式サイト
かたびら・スペース・しばた。公式フェイスブックページ
ブログ「人間日和」
ブログ「楕円生活の方法」
等を運用中。

2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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