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石川台 居酒屋「春夏冬」

居酒屋探偵DAITENの生活 第177回   2009年2月7日(土)   【地域別】  【時間順】


※2010年閉店

石川台 居酒屋「春夏冬」

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 土曜日の夕暮れ時、石川台駅で友人と待ち合わせをした。友人から遅れるという連絡があった。色々と忙しく行けなかった居酒屋に久しぶりに入ることにした。石川台駅はこんもりと土が盛られた上にホームがある。蒲田よりの雪谷大塚駅と石川台駅の間には呑川という川が流れており、川の上に鉄橋が掛かっている。川沿いの道から池上線が鉄橋の上を走ってゆく光景を眺めていると、遠い昔に見た景色のように思え、言いしれぬ懐かしさがこみ上げてくる。蒲田方面から来た池上線は、大きなカーブを描きながら雪谷大塚の高台から鉄橋を渡り、さらに「希望ヶ丘商店街」という商店街のある通りの上に掛かる橋を渡って、こんもりと盛り土された石川台駅に到着する。石川台駅を発車した電車は踏切を渡り、春になれば満開の桜で一杯になる切通しを通ってゆく。この切り通しの脇の急な坂道の上から石川台駅を見おろす眺めは、CMやドラマでよく使われる景色である。

 石川台駅の五反田方面の改札を出て左へ。枯れた雑草におおわれた盛り土を左に見ながら線路沿いの道を歩いてゆくと、右側に赤提灯が見えてくる。この赤提灯はホームからもよく見える。居酒屋「春夏冬」である。
 看板には大きく「春夏冬」と書かれ、脇に小さく「二升五合」と書いてある。
「春夏冬二升五合」とは、春夏冬は「秋がない」ことから「商い」。二升は、ますが二つで「益々」と読み、五合は一升の半分で半升のことから「繁盛」と読む。「商い益々繁盛」と読むことが出来る。この事から「春夏冬」という店名が生まれたのである。この店名の居酒屋さんはあちらこちらに存在する。「しゅんかとう」と読む以外に、「あきないや」と読ませる場合もある。

 かなり古い長屋式の建物の一軒である。ずっと前、数軒の空き店舗だったこの場所に手を加えて、古い町並みを再現し、何かの撮影に使っていたこともあった。
 店の入口の上の壁の高い位置に「八百吉」という文字が薄く残っている。元は仕出し屋さんのようであった。左手に二枚のガラス戸、右手に焼き台が見える。こちらの店は長い間空き店舗だった。再開発の為、石川台駅の反対側から移転してきた「むらた」という焼き鳥店がそこに入った。
 女将さんが一人でやっておられた店である。丁寧な接客であった。私が行った時、注文したホッピーのジョッキと瓶をカウンターの上から出すことをせず、わざわざカウンターの中から出てきて、カウンターに座る私のところに、ゆっくりと律儀に届けてくれた。その時、女将さんは体調をくずされていたようで、運ぶ姿が痛々しく申し訳なく感じたことを覚えている。

 その後、「むらた」の女将さんが亡くなったことを店の前の貼り紙で知った。店名を変え、内装に多少手を加えて再開店したのが現在の「春夏冬」である。
 店に入ると、右手にカウンター席が七席あり、中は調理場である。左手には狭い二人席が二つ。奥には座敷がある。無理をすれば8人ほど座ることが出来る広さであろうか。

 実は長時間飲む訳にはいかない事情があって、「一人酒は2杯2品」という枷を自分に与えることにした。
 まずは、日本酒一合(450円)と鳥ねぎま(100円)を2本頼んだ。
 「お通し(300円)」は、まだ出来ていないそうで、代わりに牛すじ煮込みが出てきた。頼もうと思っていたのでちょうどよい。なかなか美味しい煮込みであった。
 やがて、女将さんと娘さんが登場。
 女将さんが「狭くないですか?」と言って、私の座っていたテーブルを少しずらして私の居場所を広くしてくれた。

 店内を見まわす、以前に来た時にもあった「むらた」の女将さんの「似顔絵」が壁に貼ってある。当時の常連の方が書いた似顔絵であろうか。やさしい笑顔である。私がお会いした頃よりもふくよかな顔であった。
 レモンサワー(400円)はジョッキに入って出てきた。納豆オムレツ(400円)も美味しかった。大将、女将さん、娘さん。みんな静かである。必要な言葉のみが交わされる。
 しばらくしてやってこられた常連らしき方も「○○には行ったの?」「いきません」といった簡単な会話を大将とした後は、ずっと静かであった。一人酒には必須のテレビがボトルキープの焼酎の棚の上にある。テレビ東京の釣り番組をずっとやっている。テレビの音も静かである。だんだんに眠くなってくる。久しぶりにくつろいでいる自分がいる。
 活気のある「名店」も良いと思うが、このような「日常酒場」も捨てがたいのである。
 私のブログは「名店」を探して紹介するグルメ・ブログではない。日々の生活の場としての「酒場」での出来事を切り取ってくきて描写することが目的である。ゆえに「居酒屋探偵DAITENの生活」なのである。

 約1時間15分ほどの滞在、友人を待つ為に思いの外、長居をしてしまった。
 しかし、自分に対して課した「二杯二品」の縛りは全うすることが出来た。お勘定は1,750円であった。「お通し」は二品には数えないこととさせていただく。

 因みにこちらの店では、早朝七時頃から店の前で「おにぎり」の販売をしている。コンビニではない、手作りの「おにぎり」を朝食で食べたい方は寄られるとよい。


  石川台「春夏冬」看板

石川台 居酒屋「春夏冬」
住所 東京都大田区東雪谷2-4-16
電話 03-3728-6075
定休 日曜日
営業時間 17:00~24:00
交通 東急池上線石川台駅下車徒歩1分。

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新岳大典

新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。
http://izakaya.daitenkan.jp/
2018.1より上記のURLとなりました。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。
2011.7よりfacebook参加
https://www.facebook.com/daiten.aratake/

劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。

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かたびら・スペース・しばた。公式サイト
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ブログ「人間日和」
ブログ「楕円生活の方法」
等を運用中。

2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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