洗足池 立ち喰い・立ち飲み「より道」
※2009年秋、ひっそりと閉店。
洗足池 立ち喰い・立ち飲み「より道」


池上線の車内で「洗足池で降りて寄り道しよう」という言葉が浮かんだ。
洗足池駅の小さな駅舎から外に出ると、目の前は中原街道である。スロープがあって自転車でも渡ることの出来る歩道橋を渡ると、向こう側は洗足池公園。ボート乗り場もあって、恋人たちのデートの場所として昔から有名である。
左手を見ると、線路脇の抜け道への入口の角地に小さな店がある。表に照明の入ったアクリル製の看板が出ている。そこには、こう書かれている。
「ちょっと一杯 立飲みコーナーもあります ヤキトリ、煮込み、お持ち帰りできます より道」
さらに、緑色のテントには、「そば うどん はやい・うまい・やすい」と書かれている。同じく緑色のビニールシートで出来た暖簾には「牛丼、カレーライス、うどん、そば」とある。さらに、「やきとり」と書かれた小さな赤提灯も掛かっている。
その店は朝から夜遅くまで営業している「立ち喰い・立ち飲み店」である。
単純に「立ち喰いそば店」と言うわけにはゆかない豊富なメニュー。「立飲みコーナーもあります」の言葉の中に「も」と書かれているが、店内に立ち喰いと立ち飲みのコーナーが別れて存在するわけではない。角地の短い面と長い面に入口がある。角の部分に飲み物を冷やす冷蔵庫が立っており、中の飲み物が見えるので、客は自分で選ぶことが出来る。
店内に高い縁台が三つ置いてあり、一つに二人づつ六人ほどが座ることが出来る。それ以上入ってしまった時は立って飲むのであろうか。この台を外せば立ち喰いということになる。ゆえに、純粋な立ち飲み店とは違うのである。
「そば」を何度か食べたことはあった。現在のような「立ち飲み」の店らしくなる以前からここで飲んでいる人はよく見かけた。
いつかここで飲んでみようと思っていた。さらに、古い食堂等を中心に酒場を紹介されているcroquettepunchさんのブログに写真入紹介記事が載って以来、その気持ちは、さらに高まっていた。しかし、自分の選ぶ領域とは微妙にずれる為、紹介せずにいたのである。
改札を出ると、夕方の6時過ぎである。店内には男性の先客の方が一名のみ、立ち食い用に高くなっているカウンターに向かって座る。ママさんがにこやかに迎えてくれ、カウンター席の下にあるフックに荷物を掛けるように言ってくれる。左手のカウンターの端にはマスターがやはりにこやかに立っている。
まずは、ビール(330円)をお願いする。350㎜リットル入りの缶ビールである。冷やしたジョッキと一緒に出てくる。冷やしたジョッキに入れたスーパードライが今日はうまいのである。「焼きますよ」とおっしゃるマスターに、やきとん(120円)を2本お願いした。
やきとんは美味しかった。ビールをすぐに飲んでしまい、月桂冠「月」ワンカップ(260円)を頼む、「熱いのが好き?」とママさん。ぬる燗でお願いする。
そこへ、常連らしき男性客が二人登場された。何か差し入れを持ってこられたのである。北海道直送の烏賊で作った「塩辛」である。ママさんに「烏賊の塩辛」を渡す。ママさんがその方に一言ことわってから私にも分けてくださった。うまい。
また一人、男性の方が登場、焼き台で差し入れの「烏賊」を焼きはじめた。さらに、「ホッケ」も焼くという。
「烏賊」のゲソをいただいた。うまい。さらに「ホッケ」も続けていただいた。海水の塩加減であるという。本当に美味しかった。
店に入って30分である。お勘定をお願いする時、ママさんに小声で「三人さんなのでワンカップ3本を私に付けて、皆さんにさしあげてください。」と伝え、お勘定を済ませて帰ることにした。御馳走になってそのままという訳には行かない。恐縮される皆さんに「感動をありがとう、という感じです」と言って店を出た。
やきとん以外、お店では何もツマミを注文していない。最近自分に向けて作った「酒二杯とつまみ二品で帰る」という「二杯二品」の枷を今日も守ることが出来なかった。うれしい誤算であった。
午後6時40分から約30分の滞在。お勘定は1,610円であった。缶ビールもワンカップも安いのである。
実は、同じ週の金曜日にも「より道」に寄り道してしまったのである。緑茶ハイホット(250円)と煮込み(350円)を注文。高野豆腐の揚げたものを味見でもらう。よいツマミになると論評してしまう。さらに、発泡酒、ワンカップなどをいただいた。偶然に月曜日の三人のお客さんのうちのお二人がやってこられた。御挨拶をする。そして、先日の残りの烏賊とホッケをまたいただいてしまった。隣にいらっしゃった常連の方と色々と話が盛り上がる。ごく普通な皆さんとごく普通な話をする。そこに人生の小さなヒントがある。ママさんもマスターもお客さんも良い。落ち着いた時間が流れている。その日は予定よりもかなり遅くなってしまい、またもや「二杯二品」を守ることが出来なかった。

洗足池 立ち喰い・立ち飲み「より道」
住所 東京都大田区東雪谷1
電話 不明
定休 不明
営業時間 不明
交通 東急池上線洗足池駅下車徒歩10秒。五反田方面ホームから見えます。

ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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