居酒屋探偵DAITENの生活 第223回 2009年6月3日(水)
【地域別】 【時間順】 【居酒屋探偵DAITENの生活】 ついに紹介店200軒!
御嶽山 焼き鳥「寿有里」

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ある日の思い出 1980年頃、当時
二十歳になったばかりの私は、酔うために酒を飲み、腹を満たす為につまみを食べる場所、それが居酒屋だと思っていた。店の人と話をしたり、始めて出会う客同士が世間話をしたり、地元の情報を共有する場としての居酒屋の機能を知らなかったのである。
1980年代前半は
地酒ブームが起きた頃で、越乃寒梅に一本数万円の値段が付いたものだ。また、1980年代後半のバブル期に突入する前であり、時代の雰囲気は、派手なもの、高級志向のものを持てはやす傾向にあった。私もまた、先輩たちに連れて行かれるバーボンを飲ませるバー、高級な吟醸酒を飲ませる料理屋等に憧れたものである。
そんな
二十歳の頃の
ある日の自分を思いだした。昼間働き、夜は学校に通っていた。ある時、同級生に新宿駅西口の小さなカウンターだけの飲み屋に連れてゆかれた。二人とも学生でありながら働く身の上なのでスーツを着ていた。
小さなコの字カウンターがあって、つまみは本当に簡単なもので、食べる物も酒の価格も安かった。
当時、友人たちと行く大規模チェーンの店は、照明も明るく、店員が大声で
「よろこんで!」とか、
「○○いただきました!」と連呼するような店、マニュアル通りの方法で「活気」を演出した流行のニュー居酒屋だった。
そういう店に比べれば、たしかに活気の無い店だった。その友人も働きながら学校に通う身であり、生活防衛の為に安い飲み屋に通っていたに違いない。「親父さんが変わっていて面白いんだ」という友人の言葉を聞いてその店に入った。しかし、何が面白いのか当時の私には何も解らなかった。特に何かに満足することもないまま外に出た。きっと、その店の良さを今の私なら解るに違いない。
二十歳の頃のそんなエピソードを思い出させてくれたのが、東急池上線の
御嶽山駅の近くにある
焼き鳥「寿有里」であった。
「お茶っぴき」のない店 東急池上線の
雪谷大塚、
御嶽山、
久が原、
千鳥町の4駅の間の線路脇には、約2.5㎞に渡って一本の道が続いている。
御嶽山駅の蒲田方面の改札口はその一本道に面している。駅のすぐ脇に線路に直角に交わる道があって踏切がある。そして、線路脇の道と直角に交わる道が踏切前で十字路になっている。踏切を渡った西側は商店街で右手にジャスコ、踏切を渡らずに、改札から見て十字路の斜め向こう側にはマクドナルドがある。マクドナルドを左に見ながらチェーンの寿司店、スーパーオオゼキなどの前を通り、商店街を進む。最初の十字路に出たら右に曲がると、右手に赤提灯がある。そこが今日の目的の店
焼き鳥「寿有里」である。
道の反対側に渡り、中の様子を見る。男性と女性の客がカウンターに座っていた。いつもは中をのぞくと満席だった。今日は席が空いている。入ってみることにした。
左手にカウンターがある。カウンターは手作りのものであり、よく公共施設の会議室などにある折りたたみ式の長いテーブルをカウンターとして、調理場との区切りの台の前に置いてあるのである。どこかよそ様の台所におじゃましたような感じで実に和む。カウンターの焼き台の前には女将さん、奥の冷蔵庫前に御高齢の男性が立っている。
飲み物メニューを見て、男性に
ハイリキ(350円)をお願いした。300ミリリットル入りのずんぐりとした「ハイリキ」の瓶と氷の入った小さなビールジョッキが一緒に出てきた。
焼き鳥は、
皮(90円)、
つくね(90円)、
もも肉(100円)を一本ずつタレで頼んだ。最近はタレを頼むことが多くなってきた。どちらかといえばモツ焼きは塩、焼き鳥はタレが好きである。
味噌こんにゃく(200円)、
ゆでたまご(100円)が気になり、
厚揚げ(250円)も良いと思った。結局、
味噌こんにゃくを頼む。手作りカウンターに座りながらテレビを見て、ハイリキを飲む。なんでもない時間に癒されている自分がいる。
2杯目は
ウーロンハイ(330円)を頼んだ。普通にサワーグラスに入って出てくる。
ほうれん草のおひたし(200円)も頂いた。ここで、女将さんが
古漬けを出してくれた。
お酒(350円)を冷やでもらい、
古漬けで飲む。うまい。
女将さんが「開店以来四年目になりますが、おかげさまで一日も
「お茶っぴき」は無かったんですよ。」とおっしゃる。
「お茶っぴき」という花柳界の言葉を久しぶりに聞いた。
因みに
「お茶っぴき」とは「お茶を挽く」ということ。お座敷がかからず芸者がヒマなことを意味する、江戸吉原が発祥らしい。客の取れない暇な者がお茶の葉を臼で挽いて粉茶をつくらされたことが語源である。
早く帰るつもりが居心地の良さに、
三杯三品になってしまった。
午後6時45分から7時30分までの45分ほどの滞在。お勘定は1,710円であった。
帰り道、猫に出会った。私の泣きまねに答えてくれる。でも元気がない。
「車に気をつけて帰るんだよ。」と声をかける。
毎日のように街を彷徨い、何か解らないものを探していた二十歳の頃の自分を思い出す。
追記・・・記念すべき200軒目 私が「居酒屋探偵DAITENの生活」で居酒屋を紹介し始めてちょうど
200軒目が今日の店であった。
池上線での紹介店としても50軒目である。ちょうど
池上線全15駅の居酒屋を紹介したことにもなる。自分にとって一区切りの店、それが地元の人々に愛されている何気ない普通の店であることがうれしい。
過去200軒のお店の
地域別一覧表があるので
そちらをご覧頂きたい。
御嶽山 焼き鳥「寿有里」住所 東京都大田区北嶺町31-1
電話 03-3728-7222
定休日 日曜日(営業する場合も多いとのこと)
営業時間 15:00~21:00
交通 東急池上線御嶽山駅下車徒歩3分
ホッピー原理主義者とは?ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。
ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」は
こちら。
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コメント
DAITEN
居酒屋探偵DAITENです。
「寿有里」は午後3時から営業しています。
地元のお年寄りが早い時間から飲んでいらっしゃるようです。
女将さんによれば、旦那さんとお孫さんが手伝ってくださっているとのこと。
これからも元気で頑張って欲しいですね。
お互い同じ地域で暮らし、働いているのですね。
池上線、多摩川線沿線は便利であり、同時にどこか
田舎の風情もある良い地域です。
地域で渋い酒場を発見したらコメントお寄せください。
よろしくお願いします。
2009/06/20 URL 編集
dejavuewords
自宅が沼部なので自転車で通勤してるんですが、現場は御嶽山から半径5キロほどのところが多いんです。
ある夏の日、仕事帰りにちっちゃな店が目に留まり入ったのが寿有里でした。
それから7年ほどは他のところで仕事をしてたんですが、5月から再び御嶽山に戻り、先週の土曜昼過ぎ寿有里の向かい側にあるとんかつ屋で食事をした帰りに通りから見ると、仕込みをしてるところでした。
不景気だからこそ、こういった店の存在は貴重です。
と同時に、まだあったのかという、感慨深いものがありました。
御嶽山にしては異色の店ですが、末永く続けて欲しい飲み屋です。
2009/06/20 URL 編集
居酒屋探偵DAITEN
> 初めまして。この回と関係無くて申し訳ないですが、京急川崎駅前の“立ち飲み・天下”がある一帯(裏の望郷横丁含む)が再開発により無くなってしまう事を一応ご報告致します。
情報ありがとうございます。
立ち飲み・天下の再開発に伴う閉店の件、すでに情報を入手しております。
本当に残念ですねえ。味わい深い場所がどんどん消えて、全国の街が六本木や青山みたいに
なってゆきます。つまらない話です。
今後も何かありましたら情報をください。よろしくお願いいたします。
2009/06/11 URL 編集