蒲田 立飲み立食い「和琴」
※2012年2月 閉店
蒲田 立飲み立喰い「和琴」




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蒲田は、城南地区の中心的な繁華街である。最近は「蒲田ローラー作戦」と称して、蒲田を訪問することが多くなった。蒲田には、どれだけ多くの居酒屋が存在するのであろうか。かなりな店舗数であることは確かである。もちろん、すべて紹介できる訳ではない。悪い店ではないけれど、特に特徴が無い場合は掲載を見送っている。
さて、土曜日の夕暮れである。ある居酒屋情報を得て、その店を探す為に、蒲田の街を彷徨った。しかし、聞いた地域にそれらしき店が無い。仕方なく、西口側のJRの線路沿いを歩いてみる。ゲームセンターなどが並ぶ辺りを過ぎて、環状八号線がJR線の上を交差している下をくぐった。この先には何も無いだろうなと思って、あきらめかけた時、遠くの赤提灯に気づいた。
近づいてみる。立飲み立喰い「和琴」という看板が出ている。外から見ると、カウンター席が見えた。ちゃんと椅子が入っている。どうやら実質的には立ち飲みではないようだ。
恐る恐る入口を入ると、カウンターに空席が一つ。左右の方に「いいですか?」と声をかけて、少し詰めていただき、座らせてもらった。席に座ってもマスターが気づかない様子なので、他のお客さんがマスターに声をかけてくださる。ちょっと強面、短髪のマスターがこちらをチラリと見る。
1978年の東映映画、高倉健主演の「冬の華」の中で、小林稔侍が演じていた居酒屋の主人を思い出した。
L字カウンターには7人ほど座れる様子、そこに先客の皆さんが4人ほど座っておられた。奥に4人席があって、そちらには男性と女性が座っている。店内を見まわすと、右手奥にも4人席、そちらには「予約席」と書いてある。さらに、入口脇に小さな台があって、2人くらいが座ることが出来るようになっていた。店の一番奥の壁に液晶テレビが取り付けてある。
しばらくして、「何します?」と聞かれる。「生ビールお願いします」と言ってみる。
メニューはどこにも無い。目の前の壁に次の文章を発見。
「注文は紙に書いて下さい、後で計算します 店主」
普通に注文してから、カウンター席にあるメモ用紙に頼んだものを書き込む。すべての注文品が来てから、お勘定の際にマスターにこの紙を手渡すと、計算をしてくれる。このようなシステムのようである。自己申告制とでもいうのだろうか。
生ビール(?円)を飲みながら、古い日付の過去のおすすめメニューがあちらこちら貼ってあることに気づいた。それを眺めて迷っていると、マスターが「今日の刺身は、スルメイカに鮪に・・・」と、教えてくださる。
「それでは、スルメイカ刺し、お願いします。」と答える。
やがて、出てきたイカ刺しの量に驚いた。小ぶりではあるがイカ一杯(一匹)がまるのまま、野菜の上に乗って出てきたのである。ここで、壁に次のような注意書きを発見。
「大声他変声、貸売(無惨)、ケンカ、論争他迷惑行為 即退店願います」
皆さん会話を楽しみながら比較的静かに飲んでいる様子。時々、そういう人もいるのかもしれない。「大声他変声即退店」というのには、チェーンの居酒屋などで、いつも悩まされていることなので、まさに大賛成である。
先日もsakuraが五反田の某店で、若い女性のカナキリ声に悩まされたと言っていた。同行する者たちも注意しないという。楽しいのは本人たちだけである。こちらが注意すれば、「変な親父よばわり」という場合も多い。女性ばかりではない、野太い大声で誰かを罵倒したり、でかい笑い声で延々と自慢話を続ける親父もいる。「大店法」ならぬ「小規模店舗環境法(小店法)」でも作って、静かにさせて欲しいものである。
2杯目はホッピーセットをお願いする。「ホッピーは白にします?」と聞かれる。「白でお願いします」と即答。
まずは、お店の流儀を知る為、「氷無しで」とは言わず、黙ってホッピーセットを受け取った。
ホッピー瓶、氷の入ったジョッキ、アルマイト製の酒燗用の1合タンポ一杯の焼酎がセットで出てきた。
「卵焼きとかは出来ますか?」と聞く。すると、どういう卵焼きが良いか、固めの卵焼きが良いか、柔らかいオムレツがいいか、などとマスターが聞いてくれる。ねぎ、キムチ、など中身は色々あって、全部入れるミックスというのもあるらしい。葱の卵焼きにすることにした。
卵焼きを食べながら何を飲むか考える。一合の焼酎を一瓶のホッピーでは、とても飲みきれない。ホッピーの外をもらうことにした。
午後7時半を回って、右手の2名の先客の方が次々と帰られた。「マスター、また来るね」「ありがとね」と言って帰って行く。全員が常連客である。
入れ替わりに入って来られた常連の方と少しお話をする。
「蒲田には4000軒は飲み屋さんがあるそうだけど、自分は3000軒は歩いたと思う。その中で一番の居酒屋だと思いますよ」とおっしゃる。
お店の奥の方に、本日のおすすめメニューがあることを教えていただき、その中から最後に戻りカツオを頼んだ、しかし、今日は終わってしまったそうで、鮪刺身をお願いした。
さらに、お酒を常温でもらう。小さなジョッキに一杯の酒が出てくる。
予想はしていたけれど、鮪刺身も量が多い、赤身とビンチョウ鮪が4切れずつ。
8時半を回ってから若い女性2人組が入って来て、予約席に座った。何度も来ている馴れた様子。常連の皆さんと話もしている。こんな若い女性も来るのかと驚いた。
マスターに提出した紙には、「生ビール、スルメイカ刺し、ホッピーセット、葱卵焼き、ホッピー外、鮪刺身、常温お酒」と書いた。3品と4杯である。
マスターは、紙を見ながら計算をして「2,300円ね」とおっしゃる。これだけ飲んで食べて、2,300円は安い。
周囲の方々の頼んでいるつまみを見て、その量の多さに驚かされた。偶然とはいえ、面白い店を発見してしまった。但し、こちらの店はあくまで常連優先の店と見た。初心者には無理がある。しかし、それが良いのである。
外観の写真を撮ろうと思い、入る前と、入った後にそれぞれ撮影したのであるが何故か写らなかった。写せたのは看板のみである。写してはいけないパワーがあるのか? そういえば、この道の先には、第201回で書いた映画「砂の器」の「現場」である蒲田操車場がある。もう一度行ってみたいという衝動を抑え、蒲田駅方面へ向かって線路脇の道を歩く。独り歩く私を音と光が追い越していった。
追記・・・こちらの記事にたくさんコメントをいただき、ありがとうございます。コメントをいただくと、本当にブログをやっていてよかったと思います。感謝です。(2009.10.11)
蒲田 立飲み立喰い「和琴」※椅子あり
住所 東京都大田区新蒲田
電話 03-3734-7521
定休日 ?
営業時間 ?
交通 東急池上線・多摩川線蒲田駅下車徒歩5分。JR京浜東北線蒲田駅下車徒歩10分。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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Re: 蒲田進出