鶴見 やきとり「鳥勝」
※2010年1月15日 410,000カウント通過 感謝!
鶴見 やきとり「鳥勝」




消えたものを探して
今日は本当に忙しかった。いくつものプライベートの用事が全て終わったのが川崎駅の南西側の場所であった。そこで鶴見駅近くのある店を思い出した。しかし、その場所はJR川崎駅からも京急川崎駅からも遠いのである。そこでタクシーに乗ることにした。ベテラン運転手さんと、いろいろと話をする。京浜急行の八丁畷駅脇の踏切を渡る。運転手さんの話によれば、高度成長期には、鶴見界隈は人も多くかなり賑やかであったそうである。また、京浜急行の花月園前あたりもギャンブルをする人や家族連れで賑わったそうだ。花月園競輪場も今年3月には閉園が決まったそうであり、60年の歴史に幕がおりることになる。
タクシーを降りたのは横浜市鶴見区鶴見中央だった。駅から数分の場所に渋い居酒屋があるのである。その店の住所が携帯電話の中に入っていたので、住所表示を見ながら探すことにした。途中、角打の酒屋さんも発見。薄暗い店内で親父さんたちが飲んでいた。探しながらやっとその場所に辿り着いて愕然とした。そこに建物は何も無く、ただの駐車場になっていたのである。
その場所にあるはずの店の名は「三策」。どこかに移転したのではないか?。諦めきれずに周辺を巡り歩いた。雑居ビルの地下の飲食街などにも入ってみる。気配はどこにもなかった。情報を得るにも周囲に入り易そうな店もなく人通りも無い。古典酒場のファンは、店そのものが消えてしまうという悲しみを時折味わうものである。駐車場の角に立つ電信柱の住所表示が空しい。(写真)
帰宅後、インターネットで検索してみると、やはり閉店したという情報があった。

居酒屋探偵としての血が騒ぐ
京浜東北線のJR鶴見駅に向かう。一度は帰ることにしたが平行して走る京浜急行の京急鶴見駅の姿が見えたので、そちらに行ってみることにした。JR鶴見駅と京急鶴見駅との間にはロータリーがある。そのロータリーに面して、2軒の立ち飲み店があった。しかし、今日は古くて渋い居酒屋に入りたかったのである。京急鶴見駅の東側の京浜急行線と第一京浜道路とに挟まれた地域に行ってみることにした。初めて足を踏み入れる地域である。パチンコ店があり、その周辺に小さなに飲み屋さんが点在している。薄暗い灯りの店の中を覗くと、客席に座り、外を眺める化粧の濃い女性と目が合う。知り合いに似ていたので少し驚いた。良い店を探して路地をぐるぐると巡る。こういう時に「居酒屋探偵」としての血が騒ぐのである。
京急鶴見駅東口に面した少し幅の広い商店街に出てから南下をしてみた。左側の歩道を歩く。駅から数えて五本目の路地を覗いた時、気になる店を発見した。暖簾には白地に黒文字で「鳥勝」と書いてある。青いテントには「大衆酒場」とあった。
向かって右手の入口を入る。入って正面から左手にかけて、8席ほどのカウンターがある。左手の手前には4席の小上がり席が二つある。一人であることを伝えて、カウンター席の右端に座った。私はカウンターの右端が好きなのである。
「ビールください」と言う。
「瓶ですか生ですか?」と聞かれる。
「瓶で・・・」と答える。
「ラガーとクラシックラガーとありますが」
「クラシックラガーお願いします」
瓶ビール大(650円)を飲みながら、蕪のおしんこのお通し(400円?)をいただく。酸味がよい。まったく情報もないまま、勘だけで入った店である。こういう時は、おまかせやセットを頼むことにしている。まずは、やきとりセット(1,100円)をお願いした。
「セットの最初の一皿です」と言って出されたのは、砂肝、正肉、はつの3本、こぶりの肉がたくさん丁寧に一串に刺してある。そして、焼き具合が素晴らしい。皿に添えられた洋カラシを付けながら3本を少しずつ味わった。どれも美味しいのである。砂肝は歯ごたえがありながら固くなく、心地良い歯触りである。正肉は半生の感じである。ハツも旨みがある。どれをとってもハズレがない。テレビでは初場所六日目の中継が流れていた。しかし、私は相撲中継よりもやきとりに夢中になってしまった。「三策」が無くなってしまったことでがっかりしていた気持ちが一期に興奮に変わった。
二皿目は手羽先が二つである。これもうまい。ついつい、骨まで食べてしまった。
「これが二皿目です。このあと、うちのメインのジャンボつくねがつきます」とのこと。期待大である。
三皿目のジャンボつくねは少し時間がたってから出てきた。その姿を見て驚く。まるで、ハンバーグのような形をしているのである。居酒屋店内でカメラを使用する人は、きっと撮影してみたいに違いない。こんなつくねは初めてである。申し訳ないが私はカメラを店内で使用しないポリシーなので、ここに写真をお見せできないことはご勘弁願いたい。単品としては400円となっている。箸で切ると、肉汁がしみ出てくる。これを切り分けながら口にする。
最後に、ウイスキィ(400円)の水割りを頼む。ウイスキィのボトルは3,800円と書いてある。銘柄は角瓶。このジャンボつくねと濃いめのウイスキーの水割りが絶妙に合う。
京急鶴見に名店を見つけてしまったと思う。何も情報がないまま、こんな名店にたどり着けてしまうとは・・・。変な言い方をすれば「今日の自分が怖い」のである。
お休みの日と営業時間を伺う。気さくな御夫婦が二人で営業するお店。お勘定をしてから「全部、美味しかったです。手羽先なんて、骨まで食べてしまいました」と言って外に出た。こういうことはあまり言わないのであるが、ついつい伝えてしまいたい気持ちになった。
午後5時30分から6時15分まで45分ほどの滞在。お勘定は2,550円であった。二階に御座敷があって20名ほどの宴会が可能のようである。また、来ようと思う。
JR鶴見駅に行くと、駅ビルがリニューアル中であった。京浜東北線に乗って蒲田に向かう。これで帰るつもりであったが「鳥勝」を見つけてしまった興奮が治まらない。城南地区の居酒屋を巡る居酒屋好きの間で今話題の一軒へ行って見ることにした。電車を乗り継ぐのをやめて、蒲田駅から歩いて向かう。その店もまた驚きの店であった。
(つづく)
※ ※ ※
さて、家に帰ってからインターネットで「鶴見 鳥勝」で検索してみて驚いた。街を彷徨って偶然に入った店が実は吉田類さんのテレビ番組「吉田類の酒場放浪記」で2009年12月7日に紹介されていたのであった。私は見ていない。やはり、酒場好きの嗅覚は同じということであろうか。

鶴見 やきとり「鳥勝」
住所 横浜市鶴見区鶴見中央4-15-7
電話 045-505-0886
定休日 日曜
営業時間 17:00~22:30
交通 京浜急行京急鶴見駅下車徒歩5分・JR京浜東北線鶴見駅下車徒歩8分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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