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武蔵小杉 まるみ、文福、そして音楽の街

居酒屋探偵DAITENの生活 第5回  2007年1月19日(金曜)   【地域別】  【時間順】



武蔵小杉 まるみ、文福、そして音楽の街


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東横線・武蔵小杉の謎の店 居酒屋「まるみ」

 友人のOZAKI先生と会うのには東急東横線の武蔵小杉が便利である。
その日、先生と待ち合わせたのは午後8時。
 この日は自宅から武蔵小杉まで50分かけて歩いた。武蔵小杉駅の北側に同じく東横線の新丸子駅がある。その新丸子駅のすぐ近くで、カラオケボックスのような店を発見する。しかし、店の前に集まっていたのはエレキギターを背負った若者たちだった。それは、STUDIO MUGICといって、音楽及びダンスのリハーサルスタジオである。OZAKI先生は音楽家である。さっそく彼の分とあわせて2枚のパンフレットを受け取る。実はこの店のエントランスには会員制のバーがあって、同スタジオの会員はビール、バーボン、カクテル等、各種お酒を楽しむことが出来る。

 8時ちょうどにOZAKI先生に会うと、最初に向かったのは、以前から気になっていた「謎」の店である。しかし、看板のない隠れ家レストランという訳ではない。そういう偽物じみたものは好きではない。JR武蔵小杉駅前のロータリーに出て、すぐ目の前にあるビルとビルの間の路地を入ってゆく。すると、右側の薄暗い細い路地に向けて入口があり、大衆酒場と書かれた暖簾が掛かっている。そばの看板には○印の中に「味」の一字。看板の明かりが無ければ、この暖簾にさえ気づかないかもしれない。○の中に味で「まるみ」と読むらしい。実は、この前を2度ほど通ったことがある。中からたくさんの人の声が聞こえてくるので、怖いモノ見たさというか、一度は入ってみたい思っていたのである。しかし、1人で入る気持ちにはならない。気軽に入れる雰囲気ではない。

 OZAKI先生と中に入って見て、まず驚いたのは、その広さだった、ちょうど高校の教室一つ以上はあるだろうか。真四角の天井の高い空間は、高校の柔道部の道場のようでもある。入ってすぐ左に調理場スペースがあり、そこを囲むようにカウンターが作られている。このカウンターには1人客が数名。その隣に6人から8人くらい座れるテーブルが8~10個は並んでいる。さらに、奥には畳の敷かれた「小あがり」があり、そこだけで30人は座れるかもしれない。蛍光灯の照明といい、たくさんのむき出しの換気扇といい、ちょうど中小企業の食堂のようである。そこに、およそ50人ほどの人が座っていた。
 私たちは入って右に2つだけ並ぶ4人掛けのテーブルの一つに座った。空いているのはそこだけであった。メニューを見ると、豆腐、納豆、おしんこ、といった簡単なメニューばかりである。どれも安い。ただ盛りつけて出すだけで、素早く出せるものが多い。やきとりやししゃも等の焼き物も一応あるが、廻りの人がそれを頼んでいる様子もない。まずは、ビールの大瓶を一本。
 私たちの隣のテーブルは、2つのテーブルをつなげてちょうど会議室のようになっていた。そこに男女あわせて16人ほどが座っていた。まさに、職場会議が終わったあと、会議室から社員食堂に移動して軽く飲んでいる、そんな様子であった。人数の割りにとるつまみも少ない、時間も午後8時半であるから、本当に職場会議の帰りの人たちかもしれない。
 情緒とか風情とかそういうものをこの店に求めている客は1人もいないに違いない。「高度成長期の川崎の工場労働者の生活を支えた飲み屋じゃないですかねえ」というOZAKI先生の指摘に同意である。川崎西口駅前の大宮町で生まれ、今はラゾーナ川崎という巨大ショッピングセンターになってしまった東芝堀川町工場の壁を見ながら育った私としては、不思議な懐かしさと感慨をこの店に覚えた。

東横線・武蔵小杉 有名居酒屋「文福」本店

 「あじまる」を出るとすぐ裏に有名な居酒屋「文福」の本店がある。多くの居酒屋系ブログでも紹介されている店である。他に、近くにパート2店、さらに南口店もある。
 今日も店の中は混み合っていた。ちょうど外に出て行くお客さんが数名いて、その人たちが座っていた席が片付けられるのを数分ほど待っての入店。運がいい。
 まずは、生ホッピー300円である。白ホッピー、黒ホッピー、生ホッピーと、ホッピーが3種そろっていて、しかも全て300円と安い、ホッピー好きにとっては理想的な店である。他に看板料理の。「元祖カレー煮込み」(400円)、串焼きはカシラ、タン、ハツ、レバ、シロ、コブクロなどが1串100円。焼き鳥系は若鶏、皮、砂肝、手羽先、ぼんじり、などが各110円。とりあえずカシラ、タン、ハツなどをいただく。
 
 OZAKI先生と先ほどのSTUDIO MUGICの話をする。【音楽の街 川崎!武蔵小杉エリアの音楽&ダンスのリハーサルスタジオ 東急東横線 新丸子駅西口徒歩30秒】というキャッチフレーズである。川崎が音楽の街であるとは知らなかった。川崎駅西口にミューザ川崎という大型音楽ホールが出来たからかもしれない。
 彼とは昔バンドを組んでいたので、十数年ぶりに何かやるかという話になった。酒好き同志の相談であるからスタジオ内に「飲食物、アルコール類の持ち込み出来ます」という店のコンセプトに惹かれてのことである。動機は限りなく不純である。しかし、本気ではある。

 武蔵小杉の駅で別れたのは11時40分。次はスタジオ入りの約束をした。稽古帰りのSAKURAと自由が丘で待ち合わせ、帰路の数キロを歩いて帰った。飲むと不思議に歩きたくなる。

武蔵小杉「まるみ」
川崎市中原区新丸子町915 電話044-733-6018

武蔵小杉「文福本店」
川崎市中原区新丸子町915 電話044-722-8828
営業時間 17:00~23:00 年中無休  

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新岳大典

新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。
http://izakaya.daitenkan.jp/
2018.1より上記のURLとなりました。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。
2011.7よりfacebook参加
https://www.facebook.com/daiten.aratake/
2019.10よりnoteにエッセイや小説など執筆開始。


劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。

演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」
劇集団咲良舎公式サイト
かたびら・スペース・しばた。公式サイト
かたびら・スペース・しばた。公式フェイスブックページ
ブログ「人間日和」
ブログ「楕円生活の方法」
等を運用中。

2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。

 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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