池上 食堂「池上食堂」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第520回 2013年6月19日(水) 【地域別】 【時間順】 【がっかり集】
池上 食堂「池上食堂」
~ そのたたずまいにひかれて ~

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「佇まい」という言葉がある。
読みは「たたずまい」である。意味は「立っているようす。また、そこにあるもののありさま。そのもののかもし出す雰囲気。」とのこと。
ずっと前から一度は入りたいと思っていた。まさに、そのかもし出す雰囲気にひかれたのである。
店名は「池上食堂」。
食堂である。
ガラスサッシの引き戸は足元以外は曇りガラスになっており、店内は見えない。
さらに、引き戸の左側と上の部分も曇りガラス、店内奥まで明るい光が入るようになっているようだ。
「池上食堂」と書かれたのれんをくぐり、曇りガラスの引き戸を開けて中に入る。
入口から見て左手にテーブルが手前から奥にかけて3つ並んでいる。柱がある為、一番手前は三人、中は四人、奥には四人が座れる。右手にも同じように、3つのテーブルが並んでおり、それぞれ四人座ることができる。
入口を入って右手の高い位置に液晶テレビがある。
先客は二人の中年男性と御高齢の男性の三人。全員がテレビのある入口の方を見ている。
先客の皆さんの視線は、一瞬私に向かい、すぐに再びテレビに集中する。
くすんだベージュの壁紙。なにもかもシンプルな店内である。装飾的なものは何もない。
店の一番奥、調理場との間にあるレジのところへ行く。調理場の中にはマスターとママさんの二人。
左手にあるガラスショーケースの中と、その上の木札メニューを見比べ、手を空けて待っておられるママさんに注文をする。
キリンラガービール大瓶(500円)、目玉サラダ(250円)、冷奴(250円)をお願いする。
財布を出そうとすると、ママさんがおっしゃる。
「お勘定、後でもいいですよ」
「あっ、どうも・・・」と私。
何が「どうも・・・」なのか解らないがついつい「どうも・・・」と言ってしまう。
ママさんがキリンラガービール大瓶と「ビアタン」を持ってきて、目の前でビールの栓を抜いてくれる。
「ポン」と控えめな音がした。
グラスにビールを注ぎ、一口飲む。
冷えたビールの一口で一日の憂さがスーッと抜けて行く。
日本人がよく冷えたビールを好む理由が解る。
ストレスの多い日本社会では、リセットスイッチが必要なのだ。
ここは、黒湯温泉の銭湯が多い地域「池上」である。
熱めの風呂に首まで一期につかり、気持ちよさそうに声をあげるあの瞬間を思い出した。
黒湯の銭湯に入った帰りに寄ってみたい。
ビールにはきゅうりのお新香と沢庵の刻んだものがついてきた。
ママさんが持ってきてくれた冷奴は、大きめの豆腐屋さんサイズが半丁。
ネギ、おかかがかかっている。
生姜のすったものが入った小皿に醤油を入れて、これをといて豆腐にかけて食べた。
「目玉のサラダおまちどうさまです。」とママさん。
卵の目玉焼き、ポテトサラダ、キャベツの千切りのセット。
よいツマミになる。
「目玉のサラダかあ・・・いいなあ」と独り言。
「孤独のグルメ」の井の頭五郎さんの台詞を思い出す。
因みに、2013年7月10日(水)からテレビ東京系の番組「孤独のグルメ」Season3が始まる。
店内のテレビでは「プロ野球選手の妻たち」という番組をやっていた。
食事による健康管理が重要なプロ野球選手、その妻たちが作る美味しそうな手作り料理が次々に出てくる。
私を含め、全員が男性の一人客である。静かにテレビを見ている男性たち。この対比が私の心にしみた。
立ち上がり、レジの所に行って、少し考える。
「納豆とお酒、お願いします」
「納豆とお酒ですね、お酒は菊正宗と富翁がありますけど、どちらにします?」
ショーケースの中に、菊正宗と富翁のガラス瓶が並んでいる。
「菊正宗お願いします・・・温めてください」
トイレを借りて、席に戻り、少しするとおかみさんがお酒を持ってきてくれた。
「お酒、瓶が熱くなってますのできおつけてくださいね」とママさん。
お酒(300円)は本当に熱燗である。口の部分を持って、小さなグラスに注ぎ、飲む。
うまい。ついつい、熱い湯に首まで入った時のような声を出してしまった。
納豆(100円)はネギがたっぷりのっている。辛子もついている。
あえて、醤油を入れずに食べてみた。
テレビでは、中村紀洋選手と奥さんと三人の子供たちとの絆が紹介される。
5月5日のナゴヤドームでの中村紀洋選手の2000本安打のシーン。
子供さんの学校の都合で家族全員が球場に行き、揃って観戦できるのはこの日のみ。
最後の第四打席。打った。私の心も動く。
里心が付いた。帰ることにしよう。
7時20分から8時20分まで1時間の滞在。酒2品、つまみ3品で1400円。安い。
お店の佇まいにひかれ、中に入った。
そして、「食堂」を楽しむことが出来た。
「食堂」は、私の心の故郷。
それもそうである。
私は「食堂の息子」であったのだ。
※ ※ ※
追記 「大衆食堂」や「街の蕎麦屋さん」で飲むというひとつの分野を確立されているcroquettepunch氏のブログを御覧になると、味わいある様々なお店を写真付で見ることが出来ます。

池上 食堂「池上食堂」
住所 東京都大田区池上6-2-9
電話 03-3751-3138
定休日 日曜・祝祭日休
営業時間 10:00~15:00/17:00~21:00
交通 東急池上線池上駅下車徒歩1分。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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「佇まい」という言葉がある。
読みは「たたずまい」である。意味は「立っているようす。また、そこにあるもののありさま。そのもののかもし出す雰囲気。」とのこと。
ずっと前から一度は入りたいと思っていた。まさに、そのかもし出す雰囲気にひかれたのである。
店名は「池上食堂」。
食堂である。
ガラスサッシの引き戸は足元以外は曇りガラスになっており、店内は見えない。
さらに、引き戸の左側と上の部分も曇りガラス、店内奥まで明るい光が入るようになっているようだ。
「池上食堂」と書かれたのれんをくぐり、曇りガラスの引き戸を開けて中に入る。
入口から見て左手にテーブルが手前から奥にかけて3つ並んでいる。柱がある為、一番手前は三人、中は四人、奥には四人が座れる。右手にも同じように、3つのテーブルが並んでおり、それぞれ四人座ることができる。
入口を入って右手の高い位置に液晶テレビがある。
先客は二人の中年男性と御高齢の男性の三人。全員がテレビのある入口の方を見ている。
先客の皆さんの視線は、一瞬私に向かい、すぐに再びテレビに集中する。
くすんだベージュの壁紙。なにもかもシンプルな店内である。装飾的なものは何もない。
店の一番奥、調理場との間にあるレジのところへ行く。調理場の中にはマスターとママさんの二人。
左手にあるガラスショーケースの中と、その上の木札メニューを見比べ、手を空けて待っておられるママさんに注文をする。
キリンラガービール大瓶(500円)、目玉サラダ(250円)、冷奴(250円)をお願いする。
財布を出そうとすると、ママさんがおっしゃる。
「お勘定、後でもいいですよ」
「あっ、どうも・・・」と私。
何が「どうも・・・」なのか解らないがついつい「どうも・・・」と言ってしまう。
ママさんがキリンラガービール大瓶と「ビアタン」を持ってきて、目の前でビールの栓を抜いてくれる。
「ポン」と控えめな音がした。
グラスにビールを注ぎ、一口飲む。
冷えたビールの一口で一日の憂さがスーッと抜けて行く。
日本人がよく冷えたビールを好む理由が解る。
ストレスの多い日本社会では、リセットスイッチが必要なのだ。
ここは、黒湯温泉の銭湯が多い地域「池上」である。
熱めの風呂に首まで一期につかり、気持ちよさそうに声をあげるあの瞬間を思い出した。
黒湯の銭湯に入った帰りに寄ってみたい。
ビールにはきゅうりのお新香と沢庵の刻んだものがついてきた。
ママさんが持ってきてくれた冷奴は、大きめの豆腐屋さんサイズが半丁。
ネギ、おかかがかかっている。
生姜のすったものが入った小皿に醤油を入れて、これをといて豆腐にかけて食べた。
「目玉のサラダおまちどうさまです。」とママさん。
卵の目玉焼き、ポテトサラダ、キャベツの千切りのセット。
よいツマミになる。
「目玉のサラダかあ・・・いいなあ」と独り言。
「孤独のグルメ」の井の頭五郎さんの台詞を思い出す。
因みに、2013年7月10日(水)からテレビ東京系の番組「孤独のグルメ」Season3が始まる。
店内のテレビでは「プロ野球選手の妻たち」という番組をやっていた。
食事による健康管理が重要なプロ野球選手、その妻たちが作る美味しそうな手作り料理が次々に出てくる。
私を含め、全員が男性の一人客である。静かにテレビを見ている男性たち。この対比が私の心にしみた。
立ち上がり、レジの所に行って、少し考える。
「納豆とお酒、お願いします」
「納豆とお酒ですね、お酒は菊正宗と富翁がありますけど、どちらにします?」
ショーケースの中に、菊正宗と富翁のガラス瓶が並んでいる。
「菊正宗お願いします・・・温めてください」
トイレを借りて、席に戻り、少しするとおかみさんがお酒を持ってきてくれた。
「お酒、瓶が熱くなってますのできおつけてくださいね」とママさん。
お酒(300円)は本当に熱燗である。口の部分を持って、小さなグラスに注ぎ、飲む。
うまい。ついつい、熱い湯に首まで入った時のような声を出してしまった。
納豆(100円)はネギがたっぷりのっている。辛子もついている。
あえて、醤油を入れずに食べてみた。
テレビでは、中村紀洋選手と奥さんと三人の子供たちとの絆が紹介される。
5月5日のナゴヤドームでの中村紀洋選手の2000本安打のシーン。
子供さんの学校の都合で家族全員が球場に行き、揃って観戦できるのはこの日のみ。
最後の第四打席。打った。私の心も動く。
里心が付いた。帰ることにしよう。
7時20分から8時20分まで1時間の滞在。酒2品、つまみ3品で1400円。安い。
お店の佇まいにひかれ、中に入った。
そして、「食堂」を楽しむことが出来た。
「食堂」は、私の心の故郷。
それもそうである。
私は「食堂の息子」であったのだ。
※ ※ ※
追記 「大衆食堂」や「街の蕎麦屋さん」で飲むというひとつの分野を確立されているcroquettepunch氏のブログを御覧になると、味わいある様々なお店を写真付で見ることが出来ます。

池上 食堂「池上食堂」
住所 東京都大田区池上6-2-9
電話 03-3751-3138
定休日 日曜・祝祭日休
営業時間 10:00~15:00/17:00~21:00
交通 東急池上線池上駅下車徒歩1分。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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